吉田ホタルについて

 ホタルが生息する場所といえば、山合の渓谷や里山の清流、あるいはのどかな田園地帯を連想されるのではないでしょうか?
 私共がホタルの養殖に取り組んでいる伊豆大島は火山性地質のため、河川はもちろんのこと水田や湖沼もありません。ホタルの飼育には適さない環境のように思えますが、敢えて水源のない環境で飼育を行うことで、外来生物の流出を防ぎ、生態系の保護に努めています。過去には、各地でスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)やコモチカワツボの流出による農業被害やホタルの生息域への深刻な被害も発生しています。
 ホタル養殖では、親虫の自然界からの採集や幼虫の餌となる貝類をホタルの生息域から採集する等の行為も見受けられ、一見、自然環境に優しいホタル放虫もかえって生態系を攪乱してしまうこともあります。

 私共の養殖施設では、累代飼育した親虫から採卵を行い、最新のテクノロジーを駆使した閉鎖循環濾過システムにより、わずか数100リットルの循環水で10万匹もの幼虫飼育を可能にしました。また、幼虫の餌となる貝類も同様のシステムにより養殖を行い、すべての飼育プロセスを施設内で完結しています。
 吉田ホタルは、生態系の保護と人々の癒しが共存できるホタル養殖に取り組んでいます。

ホタル飼育棟

ホタル幼虫飼育の様子です。
数百リットルの循環水で最大50面の飼育水槽を管理しています。テクノロジーを駆使した循環システムと併せて周年水温を管理するための冷却装置や細菌やカビの繁殖を防ぐ流水殺菌装置を装備することにより、わずかな水量で高密度飼育を可能にしています。一つの水槽に約3000匹の幼虫を収容しています。

貝類飼育棟

小型水槽72面と1t型水槽4面で年間を通して幼虫の餌となる貝類を育成しています。
循環式で環境に優しい飼育設備です。

貝類の採卵、孵化専用の部屋です。独自の採卵技術により、年間数百万もの稚貝が孵化します。

ラボラトリー

ベテランの飼育者が、ホタルや貝類の研究、水質の測定、飼育システムやアイテムの開発等を行っています。